JLCS ニュースレター No.21. メルクの樽見さんがドイツFuture賞を受賞2. 各フォーラムの今年の抱負と予定
2.各フォーラムの今年の抱負と予定
(各フォーラムの名称をクリックすると、それぞれのフォーラムHPへジャンプします。)
◆液晶物理・物性研究フォーラム◆
物理物性フォーラムでは、液晶を取り巻く物理現象に着目しつつ、幅広い見地からフォーラム研究会を企画してきました。ここ3回の研究会については、1)チュートリアル的な講演を設け、第一線でご活躍の先生方に、その回の講演テーマに関する基本的事項を丁寧に解説いただき、液晶初学者の方々にも取り組みやすい場にする事、2)物理学の堅苦しいイメージを払拭するため、その回の講演テーマに関する問題に取り組んでおられる企業の方々に、エンジニアリングの立場からご講演いただけるようにする事、3)学生の参加を奨励する事、などを念頭に置いて企画してきました。おかげさまで物理物性の研究会にもかかわらず、毎回60名を越える参加者があり、大変賑やかな雰囲気の中で活発な議論が行われています。
今後、物理物性フォーラムが検討すべき課題は、学問としての「液晶物理学」を全面に押し出した研究会を開催するかどうか、でしょう。テーマが専門的になった場合、多分参加者は10人に満たない、といった事も十分考えられます。10名の参加者は楽しめるでしょうが、研究会の敷居は相対的に高くなるかもしれません。この辺りのバランスが大変難しい所です。
理学と工学は車の両輪です。どちらが欠けても「液晶」は成立しないように思います。物理物性の同好の氏を集めながら、そのような難題にも取り組んで行きたいと考えています。講演テーマに関する皆様からのご要望をお待ちしております。
◆液晶化学・材料研究フォーラム◆
当フォーラムでは、液晶の分子設計、構造・物性相関等、化学と関わりの深いテーマから、LCD用材料あるいは新しい液晶の用途開発等、応用を念頭においたテーマまで広く関わっています。今後は分子集合体の本質を見極める研究・新しい機能を生み出す研究が益々重要になってくると考えられ、当フォーラムでも、狭い範囲の「液晶の化学・材料」の枠にとらわれることなく、異分野の学問・産業領域との関わりも深めていきたいと思っています。
2004年の運営は下記のメンバーにて行います。委員のうち、岸川・物部の2名は2004年からの新メンバーです。よろしくお願いします。
主査(会計担当兼務):川月喜弘(姫路工業大学)
幹事(HP担当兼務):青木良夫(埼玉大学)
委員:氏家誠司(島根大学)
長谷部浩史(大日本インキ化学工業(株))
岸川圭希(千葉大学)
物部浩達(産業技術総合研究所)
西山伊佐(横山液晶微界面プロジェクト)
2004年の活動として下記の2件の講演会の開催を予定しています。液晶材料と光が関わる話題を取り上げています。機会があれば液晶の集合状態の本質に迫るような企画も考えたいと思っています。
(1)横山液晶微界面プロジェクト「光-液晶」ワークショップ「Photonic Effects in Anisotropic Soft Matter: Frontier of “Light” – ?”Liquid Crystal” Interactions」、(横山液晶微界面プロジェクト・液晶化学・材料研究フォーラム共催)2004年2月21日(土)09:40?18:00、産総研・臨海副都心センターにて
(2)液晶フォトニクス・光デバイスフォーラム2004年度第1回講演会(液晶化学・材料研究フォーラム共催)、先端講座「分子配向制御が拓く有機エレクトロニクス」、2004年3月2日午後1:00?6:35、東京工業大学すずかけ台キャンパス・すずかけ会館多目的ホールにて
それでは今年一年よろしく御願い致します。
◆液晶ディスプレイ研究フォーラム◆
液晶の各種表示方式を核として、総合的に液晶ディスプレイ技術が進化・成熟しています。具体的には、ディジタル放送開始を受け、フラットパネルディスプレイの主役たる液晶ディスプレイによる55インチサイズ化、1000:1の高コントラスト比、170度の広視野角、4msの応答時間、500cd/m2超の輝度など、最終的にTV応用を狙った技術展開が成されています。また、液晶応用の裾野を拡げる技術として、3D表示、システム液晶等の携帯端末用途を中心とした技術が進展し、300ppiの高精細化、1.3gのVGAパネルなど、未来の液晶ディスプレイとシステムに対する期待が高まっています。
2004年液晶学会ディスプレイフォーラムでは、これら液晶技術の更なる進化を見据えた展開と一端を担う技術について、会員及び関連ディスプレイ業界の方々に紹介致します。詳細には、講演会企画(案)「次世代液晶ディスプレイ-液晶技術の更なる進化を目指して」、液晶討論会プログラム編集とサポートやホームページ等を通じ、幅広い活動を行っていきます。
なお、近々にフォーラムホームページを大幅に更新する予定です。皆様のアクセスをお待ちしています。また、フォーラム講演会、ホームページの内容などについてご意見・ご要望のある方はフォーラム運営委員会までご連絡をお願いします。
◆液晶フォトニクス・光デバイス研究フォーラム◆
分子配向の自己組織化を特徴とする液晶は、ディスプレイ以外にも多様な分野に応用が可能です。本フォーラムの役割は、液晶材料・素子の機能探索から応用開拓まで、液晶の守備範囲を拡張することにあります。液晶の光および電子物性の発現や、それを活用したデバイス創生の可能性を追求することにより、新たな学際ならびに産業分野を開拓していきます。液晶の表示応用が成熟期に達している今、当フォーラムの果たすべき責任は、ますます大きくなっていると考えます。このような趣旨に基づき本フォーラムは、液晶の光技術・光処理(フォトニクス)をキーテクノロジーとして、基礎研究のフェーズから情報交換の場を積極的に提供してきています。そしてこれまでに、光化学、光屈折、非線形光学、発光、光導電性、近接場光学、フォトニッククリスタル、光計測、光記録、光通信、立体表示、ホログラム、光画像処理・認識、光情報処理、電子ペーパー、空間光変調をはじめ、極めて広範な分野をカバーするに到っています。
特に今年度の活動としては、研究が活発化している電子物性、光学素子、発光制御に着目し、3つのテーマ講演会を開催する予定です。第1回講演会のテーマは、「分子配向制御が拓く有機エレクトロニクス」(3月2日、東工大)です。昨今、有機半導体の電荷移動度が著しく向上していますが、今後の進展には分子配向制御が欠かせません。本講演会では、液晶性の活用を含め配向制御の動向を展望します。第2回目は、「液晶光学素子の新展開と実用化技術」をテーマとします(6月下旬予定)。液晶は表示以外にも、通信、計測、記録、撮像など種々の光学分野に応用でき、従来の光学素子をアダプティブに変貌させるインパクトを持ちます。最近の話題と実用化例を踏まえ、発展の方向性を探っていきます。さらに今年度の後半には第3回目として、液晶による発光・レージングをテーマとして企画作業を進めています。詳細は、学会誌、ホームページ、メーリング等を通じて、皆様にお知らせしたいと存じます。なにとぞ当フォーラムの取り組みに、ご賛同・ご協力をお願い致します。
◆生体関連・リオトロピック液晶研究フォーラム◆
昨年に引き続き2004年度のフォーラム主査をさせて頂いております木村康之(東京大学大学院工学系研究科)です。当フォーラムは日本液晶学会で主催している5つのフォーラムの中では多分最も規模が小さなものだと認識しております。実際、昨年度の討論会では関連の発表は8件と全体の3%程度に留まっています。このように液晶学会での研究人口は少ないものの、フォーラムのカバーする領域は広く、例えば、リオトロピック系は生体中の基礎構造して生命活動を支えるとともに、洗剤、化粧品、薬などの日常生活を支える製品として広く利用されております。また、最近では液晶・コロイド分散系のデジタルペーパーへの応用も注目を集めており、リオトロピック系の物性の理解は基礎的・応用的観点からもますます重要性となってきているのが現状です。”液晶”と言えば「サーモトロピック」、応用は「ディスプレー」という認識から少しでも「ライオロピック」、「非ディスプレー応用」、「生体」への関心を持って頂きたいとの観点から、昨年度は8月に物理・物性フォーラムとの共催で「ここが面白い、リオトロピック系の物理・物性」という題で講演会を開催いたしました。具体的内容は「液晶」Vol.7 No.4に岩橋先生(北里大)が書かれた報告をごらん頂きたいのですが、リオトロピック系の「物理・物性」の基礎ならびにトピックスを4人の講師の方にお話いただきました。本年度は「液晶系の自己集合と自己組織化」(仮題)というテーマで基礎および応用を取り混ぜた内容の講演会を準備しております。
今後も「ライオロピック」、「非ディスプレー応用」というキーワードでの情報を会員の皆様に提供して行きたいと考えておりますので皆様のますますの参加をお願いする次第です。なお、「こんなテーマでの話が聞きたい」などのご要望がありましたらご意見がありましたらフォーラムのHP(開設予定)までお寄せください。